着物クリーニングの歴史

着物のクリーニングの歴史

着物のクリーニングの歴史は、古くから伝わる「洗い張り」の技術に始まります。洗い張りとは、着物を解きほぐして反物状態にし、水洗いを行う方法です。この技術は、平安時代にはすでに存在していたと考えられています。

洗い張りを行う理由は、着物の汚れを落とすだけでなく、着物の状態をリセットし、寿命を延ばすためです。洗い張りを行うことで、着物のシミや汚れを落とし、縮みを防ぎ、着物の形を整えることができます。

洗い張りの技術は、江戸時代にはさらに発展し、洗い張り専門の職人が現れるようになります。江戸時代には、着物が庶民にも普及し始め、洗い張りの需要も高まりました。

明治時代になると、着物のクリーニングに新たな方法が導入されます。それが、ドライクリーニング(丸洗い)です。ドライクリーニング(丸洗い)は、石油系溶剤を用いて汚れを落とす方法です。洗い張りよりも手間がかからず、短時間でクリーニングすることができます。

ドライクリーニング(丸洗い)の導入により、着物のクリーニングはより身近なものになりました。また、洋服の普及により、着物のクリーニングを専門に行う業者も増えていきます。

昭和時代には、洗い張りとドライクリーニング(丸洗い)の両方が普及し、着物のクリーニングはさらに発展します。また、着物にシミ抜きや仕立て直しなどの付加価値をつけたクリーニングサービスも登場します。

現代では、着物のクリーニングは、着物を長く大切に着るために欠かせないサービスとなっています。洗い張り、ドライクリーニング(丸洗い)、シミ抜き、仕立て直しなど、さまざまな方法を組み合わせて、着物の状態に合わせて最適なクリーニングを行うことが大切です。

洗い張りとドライクリーニング(丸洗い)の違い

洗い張りとドライクリーニングは、着物のクリーニング方法の2大主流です。両者には、以下の違いがあります。

  洗い張り ドライクリーニング(丸洗い)
使用する溶剤 石油系溶剤
落とせる汚れ 汗や食べこぼし等の水溶性の汚れ 皮脂等の油汚れ
メリット 汚れを落とすだけでなく、着物の状態をリセットできる ほどく手間がかからず、そのままの状態でクリーニングできる
デメリット 洗うのに手間と時間がかかり、仕立て直しが必要 汗や食べこぼし等の水溶性の汚れは落としづらい

着物のクリーニングを依頼する際には、着物の素材や汚れの程度などを考慮して、適切な方法を選択することが大切です。

洗い張りが適している場合

  • カビや食べ物等の水溶性の汚れがひどい着物
  • 着物の風合いをリセットさせたい

ドライクリーニング(丸洗い)が適している場合

  • 皮脂やファンデーション等の油性の汚れがひどい着物
  • 着物を反物に戻さずそのままクリーニングしたい場合

洗い張りとドライクリーニングの両方を組み合わせる

着物の状態によっては、洗い張りとドライクリーニングの両方を組み合わせてクリーニングを行うこともあります。

たとえば、着物の汚れがひどい場合、まずドライクリーニング(丸洗い)によって表面の油性汚れを落とし、その後、洗い張りによって着物の状態を整えるという方法があります。また、着物の部分的に汚れている場合、染み抜きによって汚れた部分のみをクリーニングするという方法もあります。

着物のクリーニングを依頼する際には、着物の状態や汚れの程度などを、専門家に相談して、最適な方法を選択することが大切です。